今回は栃木県在住のIさんから届いた証しを紹介します。
新年度より、旧約・新約聖書をハブルータ訓読する集いを開催しています。第一クールである創世記の学びが終了した時点での、中間報告をさせていただきます。
昨今「宗教二世」がメディアで扱われ、親の信仰を理解できない子どもの葛藤が浮き彫りにされています。家庭連合でも多くの二世教育プログラムが実施されたにも関わらず、祝福をしっかりと守ることができる確率は5%を切ると聞きます。
原理がそれほど素晴らしいものであれば、一番身近な我が子すら伝道できないのはどうしてなのでしょうか?
私は家庭連合に所属していた頃から、FE(Field Educator)の資格を取得して二世教育に携わってきました。月一回の小学生礼拝の担当で、聖書を題材にした説教を7年ほどしました。二世教育における聖書の扱いは、それほど大きなものではありません。光言社の教材も幼児向けの絵本と光の子園の説教集があるだけで、高学年以降は原理だけ学べば良いと考えられている節がありました。
一般の食口はおそらく、旧約聖書のモーセとヨシュア以降の記述を読む機会は少ないはずです。イエス様を殺害した民族の失敗した歴史など、自分とは関係ないと考えても不思議ではありません。
しかし実際に説教準備のために聖書を学び直して、幼児教育だけにとどめておくにはもったいない奥深さと感動があることに気づきました。
聖書ハブルータ訓読会をはじめるにあたって、まずは中高生子女の父母LINEグループで呼びかけました。
LINEグループで交流する中で、少なくない祝福二世が、み言葉や修練会から遠ざかっている実情を知ったからです。Jr.STFやトップガン修練会のような「教育ライン」に乗り切れなかった二世を、何とかしなければという思いでした。
そこで参加者を募るにあたり、「親子で一緒に学ぶ」ことを条件としました。
修練会のようにプロの原理講師が子どもを引き上げてくれるのではなく、各家庭で親と子が向き合ってくれることを期待したからです。
しかし実際に始めてみると、多くの家庭で参加が難しい状況が見えてきました。
二世がそもそも聖書に関心がないことに加え、リモートで知らない人と交流する抵抗感もあったのでしょう。やっとのことで参加してくれたお子さんからも、画面を通して発言する緊張が見て取れました。
参加者の熱量がなかなか上がらないと困っていた矢先、九州コミュニティの婦人から青年でも実施してもらえないかという打診がありました。
折りしも別グループで原理講論の学びがはじまった時期であり、少人数で学習する試みに興味があるということでした。リモートの打ち合わせを経て、同じプログラムを少し遅れて青年向けに開催することに決めました。その一方で大学生の二世から、中高生のグループにお兄さんお姉さんとして参加したいという提案もありました。そのようにして第一クールの創世記を、どうにか終了することができました。
私はFPAに入会してから、長男、長女、次男とそれぞれの進度で家庭礼拝を継続しています。
高3になる長男は旧約新約の学びが4巡目に入っており、メシアを迎える選民の心構えを教えてきました。5000年の歴史を持つユダヤ教では、子どもが13歳になった時点でユダヤ人として生きるかどうかを選ばせるのだそうです。家庭で子どもにトーラー(旧約聖書)を教育した土台の上で、神の選民として生きる覚悟を問うのです。
第一クールの創世記では、アブラハム、ヤコブ、ヨセフの生涯をテーマとして扱います。
心掛けていることは、「アブラハム家庭の復帰摂理」という正解をはじめから提示せずに、それぞれの読解から生まれた質問を傾聴することです。
「アベルとカインの善悪の分立」を知らない二世は、なぜ神様自ら争いの理由を作っているのか理解していません。また「お前とその子孫を祝福する」と神様から約束されながら、その先に待ち受ける試練と葛藤は祝福とは真逆に見えます。
摂理的人物は良く当たる占い師のように未来を予測しているのでもなければ、約束された幸せに向けて最短距離で進んでいるのでもありません。その生涯は想像もできないほど葛藤の連続であり、当事者は復帰原理を理解しないまま、懸命にその人生を全うしたのでしょう。
参加者の中には、主催者である私が驚くような読み方をしてくる親子もいます。ハブルータにおいて私は先生であると同時に生徒でもあり、主催者は案内役に過ぎないことを再確認させられるのでした。
私の中で一番大きかった発見は、ヨセフの劇的な生涯の背景で展開されたユダの役回りです。ヨセフが絶大な権力を手にしたとき、家族への未練を棄て約束の地カナンを忘れようとしました。恩讐である兄たちと対面した際も、最愛の弟ベニヤミンだけ呼び寄せてエジプトで暮らそうという心づもりだったのです。そのヨセフの決心を砕いたのが、父親であるヤコブを思うユダの真心と、ベニヤミンに対する兄たちの犠牲の愛でした。
参加者からはいろいろな感想が聞かれました。
- 登場人物の関係が複雑ですぐには整理できなかった。
- 1回あたりの範囲が長くて大変だった。
- 祝福された人物がたくさんの試練を受け、それを越えていくのが印象的だった。
- 親からずっと聖書を読むよう言われてきたが、学ぶ機会が与えられて良かった。
- 日常生活(試練)の中での神様の意図を考えることが大切だと分かった。…等々
また毎回はじまりにアイスブレイクとして聖書クイズを出題していたのですが、クイズが楽しみだったという感想もありました。
総じて、聖書の持つ潜在的なパワーと恩恵を再確認できた第一クールだったと思います。
一方親子で参加するリモート形式については、コミュニケーションの観点から改善の余地はありそうです。第二クール以降も参加者と心情交流しながら、生きて働かれる神様への学びを深めて行きたいと思います。
最後に、聖書ハブルータに興味を持たれた方は、FPAを通して質問・相談を受け付けております。関心を持たれた方は是非ご連絡を頂ければと思います。
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